うるさいいびきは騒音問題?いいえ、深刻な健康問題です!

基礎知識

就寝中のいびきの音が大きくて家族やパートナーに指摘された。自分のいびきで夜中に目を覚ましまった。いびきがうるさくて周囲に迷惑をかけているかも。いびきで悩む人は少なくないようです。しかし実際にいびき問題を指摘されても、どう治したら良いのか分からない。大半の人はいびきの正しい対処を知らず、悩みつつも放置してしまうケースが多いです。

実は、いびきの種類によっては、いびきの音の大きさが異なったり、病気の危険信号になったりする場合があることを知っていましたか。特にいびきの音が大きい場合は、一定時間呼吸が止まる「睡眠時無呼吸症候群」である可能性もあるため、注意が必要です。

ここでは、いびきの原因や、いびきによって引き起こされる病気、いびきの悩みを解決する方法について詳しく説明していきます。

いびきがうるさい原因はいびきの種類で異なる?

いびきは、就寝時に喉周りの筋肉が緩み、気道が閉塞することで生じることが多いです。大抵は鼻炎や扁桃腺の腫れ、疲労、飲酒などが原因の「単純性いびき症」です。この症状は、原因を取り除くことでいびきの症状を改善することが可能です。単純性いびき症では、身体に影響を及ぼす無呼吸発作や低酸素血症はほとんどないため、健康や睡眠に大きな影響はありません。

単純性いびき症が酷くなると、睡眠への影響が出る「上気道抵抗症候群」になります。上気道の空気抵抗が強く睡眠中に何度も覚醒が生じるため、睡眠の質が下がっていきます。そうすると、昼間の眠気や疲労感を生じるなど、健康にも影響が出てきます。無呼吸や低呼吸の状態にはほとんどなりません。しかし単純性いびき症と異なり、習慣的ないびきになるといびきの音も大きくなります。

いびきの深刻な症状「睡眠時無呼吸症候群」

上気道抵抗症候群よりも深刻な「睡眠時無呼吸症候群」になると、いびきや不眠、夜間の中途覚醒、起床時の頭痛、日中の眠気などの症状が出てきます。睡眠中に気道を塞いでしまうことにより、呼吸が一時的に止まり、その結果、体内が低酸素状態になり心臓に負担がかかります。これが原因で、高血圧や動脈硬化症などの「生活習慣病」の発症リスクが通常よりも高くなると言われています。[1]生活習慣病は、日本人の三大死因である「がん」・「脳血管疾患」・「心疾患」の危険因子です。睡眠時無呼吸症候群が引き金となって大きな病気を発症する可能性は、睡眠時無呼吸症候群を患っていない人と比べると高くなります。

また、中等症・重症の睡眠時無呼吸症候群を放置して、睡眠の質を下げたままにしておくと危険です。日中の眠気・集中力の低下により事故を引き起こす可能性も高くなります。

睡眠時無呼吸症候群のいびきには特徴があります。就寝後からいびきが始まり、徐々にいびきの音が大きくなります。そして突然いびきの音が止まります。この時は呼吸が止まっている状態です。しばらくすると呼吸が再開され、またいびきが始まるのを睡眠中に繰り返します。このような大きないびきをかいている場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。早急に専門の医療機関を受診しましょう。

大きな音のいびきを改善策は何?

いびきの種類によっては専門医を受診する必要があります。多くのいびきは生活習慣の見直しや、対策を行うことで改善が期待できます。それにより、いびきの音も軽減することが可能となります。まずは自分でできるいびきの予防・対策を実践すると良いでしょう。

鼻炎解消:耳鼻科的治療

肥満解消:運動、ダイエット

上気道のゆるみや予防:禁酒、禁煙

気道確保:横向きで寝る、枕の高さを調節する

口呼吸予防:マウステープなどのグッズで鼻呼吸を促す

上記を試しても改善されない場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性が高いです。専門の医療機関を受診し、医師の指示に従った適切な治療を行うようにしましょう。

まとめ

いびきは、単純性いびき症、上気道抵抗症候群、睡眠時無呼吸症候群の3つの種類に分けられます。家族やパートナーから指摘されるほど大きな音のいびきは、睡眠時に呼吸が止まる睡眠時無呼吸症候群などの病気のサインとなっている可能性があります。睡眠時無呼吸症候群になると、いびきのうるささで周りの人に迷惑をかけるだけでなく、大きな病気の危険因子になったり、事故を引き起こす可能性が高くなったりするので注意が必要です。いびき対策をしても改善しない場合は、なるべく早くに専門の医療機関を受診して治療するようにしましょう。

[1] 厚生労働省 e-ヘルスネット /  睡眠時無呼吸症候群 / SAS

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