脳卒中といびきの怖い関係性とは? | いびきに潜む怖い病気

基礎知識

日本人の三大死因の一つである「脳卒中」には、実はいびきと深い関わりがあります。この記事では、いびきと脳卒中の関係性について詳しく説明しています。いびきだからと侮らないで、深刻な病気のサインを見逃さないようにしましょう。

脳卒中とは?

私たちの脳にはたくさんの血管が張り巡らされており、それらの血管が破れて出血したり、詰まってしまうことで起こる病気を「脳卒中」といいます。現在、脳卒中の患者数は約174.2万人(男性94.1万人・女性80.1万人)[注1]となっており、がんや心臓病と並んで日本三大死因の一つとなっています。麻痺・言語障害・意識障害などが発生し、最悪の場合、死に繋がる可能性がある病気です。

脳卒中は正式には、「脳血管障害」と言われ、3つのタイプに分類することができます。

脳梗塞

脳の血管が詰まったり、狭くなったりすることで血流が悪くなり、脳細胞が壊死して発生します。

脳出血

脳内にある細かい血管が破れて出血し、脳の組織内に直接出血します。多くの場合、頭痛などを誘発します。

くも膜下出血

脳の表面の大きな血管にできたコブ(動脈瘤)が破れて、出血が発生します。

いびきと脳卒中の関係性とは?

いびきと脳卒中は一見関連が無いように見えます。しかし2つの点からいびきと脳卒中は深い関わりがあります。

①脳卒中時にいびきが起こる場合がある

脳卒中時にいびきが起こる理由は、脳卒中により舌根が喉奥に落ちこむためです。気道が塞がれることにより、呼吸音がいびきと同じような音を発するようになります。

脳卒中の疑いあり!脳卒中時のいびきの特徴

刺激を与えても起きない

起こそうとして声をかけたり体を揺らしたりするなどの刺激を与えても起きない、または反応がおかしい際は、睡眠中に脳卒中を起こしている可能性があります。いびきをかいているため「よく寝ている」と判断しがちですが、実は熟睡ではなく、脳卒中による意識障害が起こっている可能性があります。

体全体が痙攣している

脳卒中を起こした際、いびきだけではなく体全体または一部が痙攣することがあります。単なる睡眠のいびきの場合、痙攣を起こすことはありません。

脳卒中によって脳組織中の神経細胞が活性化し、てんかん発作を起こしている場合があります。

突然のいびき、大きないびきをしている

普段いびきをかかないのに、突然大きないびきをする場合は意識があるか確認しましょう。痙攣などの症状が無くても、脳卒中によって意識を失っている可能性があります。

チェーンストーク呼吸が起こっている

チェーンストーク呼吸とは、交代制無呼吸と呼ばれる呼吸で、以下のような呼吸が30秒~2分程度のサイクルで繰り返されます。脳卒中などにより、脳の呼吸中枢が影響を受けることによって起こる呼吸であるため、異常を感じたらすぐに救急車を呼びましょう。

  1. 無呼吸(数秒~数十秒)
  2. 浅い呼吸が始まり、徐々に深い呼吸になっていく
  3. 再び徐々に浅い呼吸になる
  4. 再度、無呼吸になる(数秒~数十秒)

無呼吸になるため、睡眠時無呼吸症候群と似ていますが、無呼吸から浅い呼吸になり深い呼吸へ、そして無呼吸になるというように、徐々に変化していくことが特徴です。

②睡眠時無呼吸症候群によりの脳卒中発症のリスクが高まる

いびきは重症化すると睡眠時に無呼吸状態になる「睡眠時無呼吸症候群」を引き起こす場合があります。この睡眠時無呼吸症候群は心臓病や高血圧など様々な疾患の発症リスクを高めるというデータが出ています。

そして脳卒中に関しても発症リスクが高くなります。

睡眠時無呼吸症候群の患者と健常者では、脳梗塞の発症率が2.89倍の差が出るとされています。さらに、重症の睡眠時無呼吸症候群の患者ですと、脳卒中の発症リスクは健常者の約3.6倍にもあるとされています。[注2]

脳卒中リスクが高くなる理由は、睡眠時無呼吸症候群により一時的に呼吸が止まることにより体内の酸素が不足します。そのため酸素を供給するために心拍数が上昇し、それに伴い血圧が上昇します。急激に血圧が高くなることにより、脳卒中などの重病の発症リスクが高まるのです。

この症状は疑いあり!脳卒中の初期症状

脳卒中の初期症状には以下のようなものがあります。

  • 顔の半分が痺れる
  • 呂律が回らない、自分の話したいことがうまく口に出せない(言語障害)
  • 視野が狭くなる、視界の半分が遮られる(視覚障害)
  • 回るようなめまい
  • 頭痛(頭が割れる様に痛い)
  • 麻痺(左右の片側に出る)

初期症状が起きる理由は、脳内の動脈が詰まり、一時的に細胞に血液が不足するためです。ただし、上記で紹介した初期症状は一部に過ぎず、脳の血流が途絶えた部分や程度によって現れる症状はかなり異なります。

その他、異常を感じた際は脳卒中の初期症状をチェックする「FAST」という方法があります。

脳卒中の症状チェック「FAST」

FACE(顔の異変)

顔の左側のみに歪みがあるなど、顔の片側を動かせない場合、脳卒中の初期症状である可能性があります。口を大きく「い」の形にしてみて口が動かせるか確認し、どちらかが反応しないときは病院に行きましょう。

ARM(腕の異変)

肩の高さまで腕を固定しようとした時に、どちらかの腕が自然に下りてしまう、もしくは片腕がそもそも上がらない場合は、脳卒中の初期症状である可能性が高いです。

SPEECH(話している時の異変)

話をしている時に呂律が回らない、あるいは、自分で口にしたいと思う言葉がなぜかでてこない場合は、脳の機能低下が起こっている可能性があります。

TIME(症状が起きた時間)

初期症状が起きた際は、病院搬送後に適切な処置を行うために、症状が起き始めた時刻を覚えておきましょう。必ず症状が出始めた時刻をメモし、もしもの場合は早急に救急車を呼びましょう。

脳梗塞の早期治療の必要性

上記のような症状が現れたら、一刻も早く医療機関を受診し、適切な治療を始めることが大切です。なぜ早期の受診が必要なのかというと、CTやMRT等で脳出血やくも膜下出血である可能性が否定され、脳梗塞であると判明された場合、脳梗塞で「血管内治療」ができる時間が、「発症してから24時間以内」であるためです。

発作の前触れを見逃さない

「手に力が入らない」「手足がしびれる」「言葉がうまく出ない」などの脳卒中の症状が現れた際、通常5~15分程度、遅くとも24時間以内に消えてしまうことが多くなっています。これは、小さな血栓が脳血管に一時的に詰まりますが、血栓がすぐ溶けることにより、症状が消えているのです。

この一時的な症状は「一過性脳虚血発作」といわれており、大きな脳梗塞発作の前触れであることが多くなっています。3ヶ月以内に20%ちかくの人が脳梗塞を発症し、特に48時間以内に発症しています。[注3] 

「違和感があったけれど治ったから大丈夫」と安易に考えないで、大きな脳梗塞を防ぐためにも、医療機関をしっかりと受診しましょう。

脳卒中が起こりやすいタイミング

脳卒中が起こりやすいタイミングをご紹介します。高血圧や糖尿病など脳卒中を引き起こすリスクが高い方は十分行動に気をつけましょう。

起床時

早朝は交感神経の働きが活発になるため血圧が上がりやすくなります。最も血圧が高くなるのはお昼頃ですが、起床時は血圧の変動が激しいため注意が必要です。また、体が脱水状態になりやすいため、起きてから2時間以内に最も脳卒中リスクが高くなります。起きてすぐに無理な運動はせず、水分を多く摂るように心がけましょう。

入浴時

入浴時は暖房が効いた部屋から気温の低い浴室に行ったり、お風呂で温まった状態から寒い部屋院行ったりすることで、体温が変わりやすため、血圧の変動が激しくなります。

特に、血圧が急激に下がったり上がったりするヒートショックは冬に起こりやすく、ヒートショックを起こすことで血栓が詰まったり、血管が詰まったりして血管に異常が起きて脳卒中のリスクが高まります。

脱衣所に暖房をつけたり、長風呂を避けたりして脳卒中のリスクを回避しましょう。

運動時

くも膜下出血は体をアクティブに動かしている時に起こりやすくなります。それは、体を動かすことにより血圧が上昇し、脳動脈瘤が破裂しやすくなるためです。そのため、ジョギングやテニスなどのスポーツだけではなく、排便時にいきんだり性行為をしたりする時にも発症しやすくなります。

ただし、軽度の運動であればくも膜下出血の予防に繋がります。体に大きな負荷をかける運動は避け、30分ウォーキングをするなど軽い運動を取り入れてみましょう。

脳卒中が起こりやすい季節とは?

脳梗塞

6~8月に脳梗塞が起こりやくなっています。脳梗塞は血管が狭まったり、ドロドロになって詰まったりすることで発症します。そのため、汗を大量にかくことにより体内の水分量が低下しやすい夏場に発症する可能性が高くなります。

特に起床時は睡眠時に体が脱水を起こし、血管を流れる血液がドロドロになりやすいため、脳梗塞が発症しやすくなります。

脳出血

脳出血は冬に起こりやすくなっています。それは、冬場は体温を上げるために血管が収縮し、血圧が上がりやすくなっているためです。

また、冬場でも特に起床後は血圧が上がりやすく脳出血のリスクが高くなります。そして夕方も精神的にも身体的にも緊張が高まるため。血管が詰まりやすくなっています。

くも膜下出血

くも膜下出血は冬に起こりやすくなっています。とくに午前6~12時の間が発症しやすい時間帯であるといわれています。なぜなら冬場は体が熱を生み出そうと血管を収縮させており、血圧が上がりやすくなっているからです。また起床後は血圧が急激に上がりやすいため、血管や心臓への負担が大きくなります。

もともと高血圧である方や、糖尿病や脂質異常症などの持病がある方は、冬場の午前中は特に気をつけるようにしましょう。

いびきを治療して脳卒中を予防しよう

いびきが起こる原因は様々ですが、生活習慣を変えることによりいびきを改善できる場合があります。例えば、太っている方はダイエットをすることでいびきが改善する場合があります。また枕を変えたり、横向きに寝ることも効果的です。また鼻呼吸よりも口呼吸の方がいびきが起こりにくいとされています。病院に行く前に試すいびき改善方法について、こちらの記事で紹介しています。↓↓↓

病院で治療を行う場合は、睡眠時無呼吸症候群と診断されればCPAPと呼ばれる睡眠時に鼻マスクをつけることで気道に空気を送り続ける機器による治療を保険適応で受けられます。それ以外の場合は、マウスピースによる治療やレーザー照射による粘膜組織の切除などが病院での治療として考えられます。

重篤な疾患を防ぐためにも、しっかりといびきを治療しましょう。

まとめ

いかがでしたか?一見脳卒中とは関係がないと感じるいびきですが、

  1. 脳卒中時にいびきが起こる場合がある
  2. 睡眠時無呼吸症候群だと脳卒中の発症リスクが上がる

という2点から深い関わりがあることがわかりました。脳卒中は最悪の場合死に至る病気です。脳卒中予防のためにも、睡眠時無呼吸症候群が疑われる方は、早めに医療機関を受診し治療するようにしましょう。

出典

[注1]公益財団法人 生命保険文化センター 「脳血管疾患の患者数はどれくらい?」

[注2]脳梗塞・脊髄損傷専門 神経再生医療 ニューロテックメディカル「睡眠時無呼吸症候群と脳梗塞の関係性」

[注3] 富山県済生会富山病院「第16回 脳梗塞」

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