【いびきは薬で治る?】病院で行う「いびきの薬物療法」の詳細とは?

いびき治療

この記事では、いびき治療において薬物療法が選択された場合、どのような薬が使用されるのか詳しく説明しています。

いびきは薬で治るのか?

何かの病気によっていびきが生じていない限り、いびきを止める決定的な薬は、現段階では残念ながら開発されていません。
ただし、甲状腺疾患・扁桃腺肥大・鼻閉などが要因であるいびきは、薬物療法によって改善する可能性があります。

甲状腺疾患が原因の場合

甲状腺疾患により甲状腺ホルモンが減少してしまうと、上気道の筋肉の緊張が弱まったり、上気道粘膜が腫れたり、肥満や舌の腫大が発生し、睡眠中の空気の通り道が狭くなります。そのため、いびきや睡眠時無呼吸症候群(SAS)が発生する可能性があります。

甲状腺機能低下すると、高コレステロール血症や動脈硬化が発生する可能性がありますが、SASやいびきがそれらの病気を促進させる恐れがあるため注意が必要です。
甲状腺機能低下によっていびきが起こっている場合は、「甲状腺ホルモンの補充療法」という薬物治療が行われる可能性があります。

甲状腺ホルモンの補充療法とは

この療法は、血液中の甲状腺ホルモン濃度を正常化し、正常な代謝や身体機能を維持することが目標となります。

T4製剤のレボチロキシンナトリウム水和物(チラーヂン®S、レボチロキシンナトリウム®)を使用します。
TSH濃度を指標にして2~4週毎にチラーヂン®Sを増量します。ただし、投与した量でTSH濃度がプラトーに達するのに2か月を要するとされており、あまり急激に増量すると過剰投与になります。

若くて体力がある患者さんの場合は、当初から必要量を投与することができます。
急激な代謝の改善による心臓への負荷が懸念される高齢者や心疾患を有する患者さんでは少量(通常チラーヂン®S 25μg/日)から開始して徐々に増量します。

(引用:甲状腺機能低下症の治療 天神橋みやたけクリニック)

具体的に行われる甲状腺ホルモンの補充療法は、上記の通りになります。この方法で血液中の甲状腺ホルモン濃度が正常化させ、いびき改善を目指します。

扁桃腺肥大が原因の場合

扁桃腺肥大の主な原因

近年、扁桃腺肥大が原因となるいびきは、子どもに多くなっています。扁桃腺が肥大する原因は二つあります。一つ目は、細菌やウイルスの侵入を防ぐ役割を持っている扁桃腺が、免疫が発達していない幼少期に細菌などにより感染したため、肥大したと考えられます。この場合の肥大は、時間が経てば自然と症状が落ち着くとされています。

二つ目は、細菌やウイルスの感染、慢性的に扁桃炎などを繰り返したため、肥大したことが考えられます。この場合、自然に治癒することがないとされています。食べ物が飲み込みづらい、いびきが酷いなど日常生活に支障が出る可能性があります。ただし遺伝や体質によって、生まれながらにして扁桃が大きい場合もあります。

薬物治療か外科的治療の選択がとられる

軽度の場合の扁桃腺肥大は、自然に元の大きさに戻ることを待つしかありません。そのため、具体的な治療は特に行われません。
ただし、いびきやSAS、嚥下障害などを伴う場合は治療を行われます。その際行われるのが、薬物治療と外科的治療です。薬物治療では、発熱などの炎症で口蓋扁桃やアデノイドが肥大していると想定します。この場合、抗生剤消炎剤を使用した治療が行われます。

しかしそれだけでは不十分な場合、外科的手術が行われます。肥大した口蓋扁桃やアデノイドを摘出切除する手術が行われます。手術は、小さな子どもにとっては負担が大きくなります。主治医からの意見を聞いた上で慎重に検討しましょう。

鼻閉の場合の薬物治療

鼻のポリープや蓄膿症、または花粉症などが原因で鼻閉が生じている場合、鼻呼吸ができずに必然的に口呼吸となってしまうため、いびきが生じやすくなります。

鼻炎がいびきの原因だと考えられる場合、薬物治療が行われる可能性があります。その際に使用されるのが、抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン薬、ステロイドなどの点鼻薬や抗アレルギー薬です。

薬物治療を行っても効果が出ない場合は、副鼻腔根治術や鼻柱鼻中隔弯曲矯正術、下甲介切除術などが行われます。

市販のいびきの薬について

市販の商品でいびきを改善できるとされている薬についてご紹介します。どのような商品があり、どんなアプローチでいびきを改善できるのか確認してください。

サプリ

筋肉の働きを活発にさせる効果があり、いびきの音が軽減したという研究結果が出ている成分「コエンザイムQ10」やギャバやラフマなどリラックス効果をもたらす成分が配合されたいびきのサプリが販売されています。

コエンザイムQ10やいびきのサプリについては、こちらの記事で詳しく説明しています。↓↓↓

鼻閉改善スプレー

鼻閉が生じることで鼻呼吸がしにくくなり、いびきをかきやすくます。この鼻閉を解消するため、鼻の穴にスプレーをするタイプの商品があります。仕組みとしては、鼻閉改善スプレーに含まれた血管収縮薬が、鼻腔内の腫れた粘膜を収縮させます。これにより、鼻での呼吸がしやすくなるのです。

しかし注意すべきなのが、鼻閉改善スプレーは一時的な効能時間であることです。また頻繁に使用しすぎると、鼻づまりが酷くなり悪循環を引き起こす場合があります。効きが悪くなったからといって、何度も繰り返し使用することは控えましょう。

オイル入りのどスプレー

オイルを配合したスプレーを口内へスプレーするタイプの商品です。軟口蓋や舌の動きを滑らかにし、呼吸をしやすくします。自然な呼吸を促すことで、いびきを改善していく商品になります。

まとめ

いびき治療で行われる薬物治療は、以下の通りになります。

甲状腺疾患・扁桃腺肥大・鼻閉が要因であるいびきは、薬物療法で改善する可能性あり

・甲状腺機能低下が原因のいびきは「甲状腺ホルモンの補充療法」

・扁桃腺肥大が原因のいびきは「抗生剤や消炎剤を使用した治療」

・鼻炎が原因のいびきは「点鼻薬や抗アレルギー薬

・市販薬では、鼻閉改善スプレーやオイル入りのどスプレーなどがある

まずは、自分のいびきの要因を確認することが必要になります。原因が分からない方は最寄りの病院で受診してみましょう。

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